VetRad Support では、動物病院・動物園・水族館などの獣医療現場で放射線業務に従事する方々に対し、 「職業被ばく」の基本的理解と、安全管理の重要性をわかりやすく解説・支援しています。
■ 職業被ばくの定義
職業被ばくとは、作業者が自身の業務の結果として受ける放射線被ばくを指します。国際放射線防護委員会(ICRP)の定義では、 「操業管理者の責任において業務中に受ける被ばく」とされています(ICRP103 5.3.1)。
ただし、自然放射線による被ばくは通常、管理者の責任外とされ、職業被ばくには含まれません(ICRP60 5.1.1)。
■ 職業被ばくに該当する/しないケース
ケース | 職業被ばくか? | 理由 |
---|---|---|
妊娠中の女性作業者の胎児被ばく | ❌ | 公衆被ばくとして扱われます(ICRP103 5.3.2) |
臨床に関わる獣医師・飼育員 | ✅ | 業務の一環であれば職業被ばく |
家族による患者介助 | ❌ | 医療被ばくに該当 |
動物看護師の介助中の被ばく | ✅ | 獣医療従事者としての職務 |
宇宙飛行士・パイロット | ✅ | 管理下の宇宙線被ばく |
頻繁な出張のビジネスマン | ❌ | 一般人と同様に扱う |
■ 職業被ばくの特徴と管理
- 📆 長期的に継続する被ばくがありうる
- ⚠️ 作業ミスや事故により急激な被ばくリスクも
- 📏 業務内容・作業場所により線量を管理可能
- 🧪 個人線量計やサーベイメータによる測定が可能
- 🛡 遮蔽・作業手順の工夫で被ばく低減が可能
利点: 放射線作業従事者は教育訓練を受けており、被ばくを最小限に抑える工夫が可能です。
留意点: 一方で、被ばくリスクは一般の人より高くなる可能性があり、事業者の厳密な管理と本人の意識が不可欠です。
■ 獣医療現場での職業被ばくの例
- 📷 X線撮影やCT検査を行う獣医師・動物看護師
- 🧑🔬 麻酔下で動物を保定するスタッフ
- 🏥 移動用ケージのそばで撮影立ち会いを行う職員
これらの行為において被ばくする可能性がある方々は、ICRPが定める「職業被ばく」の対象に含まれます。 特に撮影時の立ち位置や防護具の使用状況が線量に大きな影響を与えるため、正しい知識と実践が不可欠です。
■ 獣医療従事者に必要な対策
- 正しい線量計の装着(胸部・腹部・指用など) (獣医療法施行規則 第十四条)
- 撮影時の被ばく線量の定期的モニタリング (獣医療法施行規則 第十四条)
- 放射線防護に関する年次教育の実施 (獣医療法施行規則 第十六条の二)
■ 法令準拠:獣医療法施行規則および労働安全衛生法
日本においては、獣医療法施行規則 第十六条の二により、放射線診療従事者には下記内容の 教育訓練が義務づけられています:
- 放射線の人体に与える影響
- 放射線診療装置の安全取扱い
- 放射線障害の防止に関する法令
- 施設における予防規程の理解
また、電離放射線障害防止規則(電離則)に基づく「特別教育」も、一定条件下では適用対象となります。
■ 国際整合性:IAEAガイドラインに準拠
当社の教育内容・教材は、IAEA(国際原子力機関)Safety Standards Series No. RS-G-1.3, GSR Part 3 など、 国際的に認められた放射線防護基準に準拠しています。特に、獣医療分野への応用を前提とした内容にカスタマイズしており、 放射線防護教育の信頼性・客観性を担保しています。
🧩 カスタマイズ可能な支援サービス
施設の規模や業務内容に応じて、教育訓練・マニュアル整備・実地指導など柔軟に対応します。 特に人手の限られた動物園・水族館・小規模動物病院への出張指導も承ります。
▶ 放射線安全管理に関するご相談・教育訓練のご依頼は、下記のフォームよりお気軽にご連絡ください。
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