ガラスリング線量計は、手指など末梢部の被ばく線量を評価するために使用される個人用線量計です。特に、放射線源に手を近づけて作業する医療・獣医療・研究現場などで重要な役割を果たします。

📌 特長
- 軽量・コンパクトで作業の妨げにならない
- 皮膚線量(
Hp(0.07)
)を測定 - リングタイプで確実な装着が可能
- 滅菌処理が可能なシリコンカバー付き(用途に応じて選択可能)
💍 ガラスリング線量計 製品仕様
商品名 | 型式 | 測定線種・エネルギー範囲 | 測定線量範囲 |
---|---|---|---|
X・γ線用ガラスリング | JQ | X・γ線:16 keV〜3 MeV | 0.1 mSv〜1 Sv※1※4 |
β線用ガラスリング | JS | β線:1.5 MeV〜3 MeV※2 | 0.2 mSv〜1 Sv※3※4 |
- ※1: 137Cs γ線単独照射に対する範囲です。
- ※2: 残留最大エネルギーです。
- ※3: 90Sr/90Y β線単独照射に対する範囲です。
- ※4: 70μm線量当量(
Hp(0.07)
)を測定します。
🧪 適用シーン
- 放射性同位元素(RI)取扱い時
- 獣医療における保定・撮影時の手指被ばく管理
- インターベンション、内視鏡、透視検査中の手技確認
- 高線量エリアでの局所防護評価
📐 サイズ・素材
- リング本体素材:軽量プラスチックまたはシリコンカバー付きタイプ
- サイズ:S / M / L(サイズ調整可)
- 測定線量の記録方式:蛍光ガラス線量計
📎 注意点
- エネルギー応答特性や方向特性を確認のうえ、用途に適した位置に装着する必要があります。
- 装着指は作業内容により異なります(例:右手親指 or 人差し指など)。
- 汚染防止のために使い捨てグローブの下に装着することが推奨される場合があります
🧪 ファントム測定による手指被ばく線量評価
X線透視検査における手指の被ばく線量を評価するため、水ファントムと防護手袋を用いた模擬測定を行いました。測定には蛍光ガラス線量計(GD-352M)を使用し、放射線の照射位置別に3か所の線量を比較しています。
📷 測定設定
- 管電圧:60 kVp
- 管電流:10 mAs
- 使用ファントム:水ファントム(JIS Z4915準拠)
- 防護手袋:0.25 mmPb
- 線量計:GD-352M(蛍光ガラス線量計)
📍 測定ポイント
測定位置 | 条件 | 線量(μSv) | 統計的有意差(p値) |
---|---|---|---|
A | 照射野内(防護なし) | 518 ± 12 | < 0.01 |
B | 照射野内(防護手袋あり) | 21 ± 3 | |
C | 照射野外 | 7 ± 1 | - |
結果より、防護手袋の装着により、線量低減効果は95.9%〜98.6%と非常に高いことが示されました。
X線作業に従事する獣医師・看護師・技術者において、鉛手袋の着用は有効な防護手段であることが明確です。

📌 注意点
- 照射野に手を入れる状況は極力避ける
- やむを得ない場合は、鉛手袋等の使用を徹底する
- 定期的な個人線量測定を実施し、被ばく状況を把握する
🔗 参考リンク
公式サイト:千代田テクノル リングバッチ
コメント